【強く美しい】ARC’TERYX ベータARジャケット ロマンもありつつ実用性に長けた万能ハードシェル【ベータジャケット・LTとも比較】
ついにここまで来ました…!
ARC’TERYXの数あるハードシェルの中でも、最も万能かつGORE-TEX PROを採用したハイスペックモデル。
圧倒的に美しく洗練されたシルエット・デザイン・質感
本格アウトドア用途はもちろん、タウンユースとしても非常に心強い汎用性
価格は張りますし、ロマンな部分もありますが、1mmも後悔はなく着るたびに愛着が増して、うっとりしてしまう。
そんなジャケットに仕上がっていると思います。
今回は、ベータジャケットやベータLTジャケットにも触れながら、ベータARジャケットの特徴や機能、着用感について、どこよりも詳しく徹底的にレビューします。
ベータARが気になっている方やすでに持っている方にも参考になればと思います。
ARC’TERYX Beta AR|購入の経緯
ゼータSLでARC’TERYXの魅力に取り憑かれてからはや4年。
今では1年間通じて、プライベート・アウトドア・スポーツなどあらゆるシーンでファッションのインフラ的なブランドになっています。
ARC’TERYXをベースにしたスタイルを3年半ほど前に考えて、おおよそどんな順番で揃えていくかという目処をつけました。
そこから、アトム・ガンマ・セリウム・プロトンなど、汎用性や着回しなどを考えつつ、少しずつ購入。
価格も高いのと、一応ハードシェルはベータジャケットがあった分優先順位は下がりましたが、数年越しでようやくGETという感じです。
お店に立ち寄る度に試着を繰り返し、サイズ感や色味などけっこう慎重に吟味。
値上げ前に買えていれば理想でしたが、それでも間違いなく買ってよかったですね。
ARC’TERYX Beta AR|外観・スペック
ARC’TERYX ベータジャケット・LT・ARとのスペック比較
Beta AR | Beta LT | Beta Jacket | |
---|---|---|---|
サイズ展開 | XS – XXL | XS – XXL | XS – XXL |
重量 | 461 g | 395 g | 300 g |
フィット | レギュラーフィット | トリムフィット | トリムフィット |
GORE-TEX | N40d&N80d Most Rugged 3L GORE-TEX PRO | N40d 3L GORE-TEX / TRICOT BACKER | N30p 3L GORE-TEX / GORE C-KNIT™ |
ベンチレーション | あり(大) | あり | なし |
価格 | ¥101,200(税込) | ¥79,200(税込) | ¥68,200(税込) |
折りたたみ可能で透湿性があり、長持ちする防水保護機能を備えたベータ AR ジャケット。様々なアルパイン環境やアクティビティに対応し、幅広く性能を発揮できるよう作られた一着です。Most Ruggedテクノロジーを採用したゴアテックス プロ(ゴアとの共同開発した次世代素材)が、最高の耐久性を提供。ヘルメット対応のDropHood™に内襟を採用して保護機能を高め、RECCO®リフレクターを埋め込むことで緊急時の捜索性を向上させています。
ARC’TERYX公式より
モデル名「Beta AR」とは?
Beta(ベータ)
万能:さまざまなアクティビティやコンディションに対応する、高機能デザイン。
お尻の半分くらいまで隠れる着丈。最も汎用性に長けたモデル。
AR(All Round Use)
さまざまなアクティビティに活用できる多用途という点を重視した、耐候性能に優れた機能と素材を使用。
ARC’TERYX Beta AR|機能・特徴について
素材:GORE-TEX PRO most rugged technology
ベータARに採用されているのは、強度や耐久性に優れたGORE-TEX PRO
そしてGORE-TEX PROの中でも、「極めて頑丈」とされる強度に特化したmost rugged technologyがセレクト。
GORE-TEX PROの種類について
- most rugged technology:強度特化
- most breathable technology:透湿性特化
- stretch technology:ストレッチ性特化
また、着心地であったり快適性も考慮した万能モデルということで、そのGORE-TEX PROの生地が使い分けられているハイブリッド仕様。
ちょうどツートンの切り返しで分かれており
メインボディ:N40d Most Rugged 3L
肩や肘まわり:N80d Most Rugged 3L
→アクティビティの中で摩耗が気になる部分は80デニールで補強
ちなみに、ベータLTは通常のGORE-TEXですが、生地の厚みとしては40デニールなので、ベータARメインボディと同じくらいという感じ。
GORE-TEXの防水・防風・透湿性能については、言わずもがな
1996年からGORE-TEXのライセンスを取得し、主力素材として採用しているARC’TERYX。当初からシームテープの太さによるGORE-TEXの透湿性や快適性の課題を直接ゴア社に持ち込んで提案し、共同開発を進めるなど、GORE-TEXの取り扱いや加工においては、他ブランドの追随を許さない、圧倒的な強みがあると思います。
ロゴデザイン:刺繍・文字あり
左胸のロゴデザインはもちろん印字ではなく刺繍。
「ARC’TERYX」の文字も刻まれています。
最近はブランドロゴのみの仕様も多いですが、個人的には文字は入っていて欲しい派。
また、こちらはSmoke Bluffというベージュ系のカラーですが、刺繍にシルバーとゴールドの間くらいの絶妙な糸が使われていて、気に入っている点。
裁断・シルエット:レギュラーフィット
ARC’TERYX ベータARの裁断はレギュラーフィット。
- トリムフィット
胸からウエスト、腰、太ももまで体全体をややスリムに裁断。かさばらず体にフィットします。 - レギュラーフィット
胸からウエスト、腰、太ももまで体全体を着心地が良く、標準的にフィットするよう裁断されています。
それぞれ意識して着用してみると、確かにレギュラーフィットのほうが全体的にゆったりした感じです。
ただし、レギュラーフィットになったからといって、サイズ選びが変わるほどのものではないかなという印象。
ちなみに、ベータジャケット、ベータLTではトリムフィットが採用されています。
フード:ヘルメット対応のDropHood™
フードはヘルメット対応のDropHood™
ベータARで特徴的なのが、フードの構造。
ベータジャケット・LTは襟部分と一体型になっているのですが、ARのみ分かれているような形状。
これにより、フードの稼働範囲・操作性が向上し、ジップを閉めた状態での着脱が簡単にできるメリットがあります。
逆にデメリットもあるので、後ほど着用感でご紹介します。
ベータジャケットのみ、ヘルメット非対応となっています。
襟・首周り:美しいスタンドカラーと快適性の高さ
襟・首周りがベータARの魅力であり特徴にもなっています。
DropHood™の構造と生地の強度もあり、ジップを開けてきても、閉めてきても、首周りの立体感やシルエットの美しさは圧巻。
もともとシルエットの美しさには定評のあるARC’TERYXですが、ほかのモデルと比べても高価なグレードだけあるなと思います。
そして見た目だけではありません。
いわゆる内襟、二重のような構造になっているので、冷気をしっかり遮断するという点でも防寒性能に優れています。
顎が触れる部分(チンガード)にはマイクロスエードを採用し、ハードシェルでも不快感のない着用感となっています。
ほかのブランドのハードシェルを着用しても、結局ARC’TERYXに落ち着くのは、デザインだけでなく、実は快適性を高めるための細部のこだわりにあるとも感じています。
着丈:旧モデルからは2.5cm長い
旧モデルと比べると、着丈が2.5cm長くなったベータAR
ベータジャケット比較すると
・センターバック:同じ
・フロントとの差:約1cm ARのほうが大きい
調節機能:ベルクロ・ドローコード・ベンチレーション
ベータARに採用されている調節機能が
Cohaesive™ CORD LOCK SYSTEM
特殊なパーツを用い、生地とドローコードを一体化することで、従来の複雑な構造を簡素化するだけでなく、利便性、耐久性も向上。
ミトンやグローブをした状態でも操作可能とのこと。
⽚⼿での操作が可能になっており、コードの先端を引いて絞ればロック。
バックルを押しながら引き上げると開放します。
腰回りの調節機能ももちろんあり。
カフのアジャスターはダイカットした樹脂製ベルクロテープ。
濡れても型崩れしないため降⾬中でも扱いやすく、しっかり⼿⾸まわりを締められるようなつくり。
「ベンチレーション」や「ピットジップ」と呼ばれる脇下のファスナー。
ウェアを着たまま、熱のこもりやすい脇から換気することで、体温調節を可能にする機能です。
ベータジャケットには非搭載で、ベータLTにはありますが、それよりもさらに広範囲に大きな仕様になっています。
また、ダブルジップなので、一部だけ好きな箇所を開けたりと柔軟に操作できるのも魅力。
止水ジップ:歴史を変えたWaterTight™ジッパー
現在世界中のアウトドアブランドが採用している「止水ジップ」の生みの親は、実はARC’TERYX。
以前は、防水のファスナーは不可能だとされていましたが、ARC’TERYXのデザイナーが学生時代の体験をもとに、裏側からコーティングすることで防げることを発見。
YKKに持ち込んで共同開発にて生み出されたのが現在も使われている止水ジップ。
進化の過程で革新的な役割を担った始祖鳥がブランドロゴになっているように、アウトドア業界の進化を促すため、あえて特許申請はせず、そこから世界中に止水ジッパーを普及させていきました。
フロントにはWaterTight™ Vislonファスナーが採用。
噛み合わせ部分の「エレメント」と呼ばれるパーツが、樹脂による射出成形からできているタイプ。
合成樹脂の「コイルファスナー」に比べて、柔軟性では劣るものの、強度は高く防寒着や作業服などで採用されるタイプ。
また、ポケットには独自開発されたRS™ジッパースライダーにより、最上部まで隙間なく締まり、防水性が高められています。
シーム処理:高い技術で軽量化と快適性向上にも寄与
シーム処理にも高い技術と工夫が見られます。
旧モデルよりも細く、1.3cmとシーリング幅を細くすることで、動きと着⽤感の向上と軽量化・透湿性の向上につながっています。
シームテープの合わせ⽬や屈曲点も、不要なかさ⾼を抑える特殊な接着仕様になっていて、技術力の高さがわかります。
携帯性:折りたたんで持ち運び可能
他のモデルと同じく、ベータARも折りたたんでの携帯が可能。
ただし、正直サイズ感はそこそこあります。
コンパクトに収納できるベータジャケットと比較すると、その差は歴然。
おおよそ倍くらいの差があります。
「一応、携帯できる」くらいに考えたほうが良いでしょう。
製造品質:グローバル基準を満たす提携先
生地:中国 / 染色加工:中国
製造:ベトナム(MENSA INDUSTRIES COMPANY LIMITED)
素材と製造については上記のとおり。
カナダ・ノースバンクーバーにある本社近くに、ARC’One(アークワン)と呼ばれるブランドの最深部にあたる生産工場があります。
大型機械はほとんど使用されず、熟練のクラフトマンシップで手作業の工程も多いそうで、ここで作られるのは全体の約10%のみ。
当然、世界的ブランドの生産体制をカバーしきれません。
そこで、中国やフィリピン、ベトナムなど世界各国の素材メーカーや工場と連携。
グローバル品質基準を設けて、場所に関わらず本国バンクーバーと同水準のものづくりを可能にしています。
ARC’TERYX Beta AR|使用感・着用感
運営者の体型と着用サイズ
着用サイズ | S |
身長 | 177 cm |
体重 | 55 kg |
体格 | 痩せ型 |
今回のベータARをはじめ、ハードシェルはSサイズを着用。
ソフトシェルはXSを着用することが多いです。
高機能・高強度でも着用感に不満なし
何度も試着して確認したので、ある程度わかっていたつもりでしたが、実際に長時間何度も着てみて
良い意味でGORE-TEX PROの偏見を裏切られた
というのがリアルな感想。
「硬い・ゴワつく・扱いづらいな」といった感じがびっくりするほどないんですよね。
この着用感でこれだけの性能を発揮できるのかと、感動しました。
お店で試着を重ねてベータARに決めるまで、実はアルファSVも何度か着用しました。
SVになるとぶっちゃけ生地感がパリッパリです(笑)
そういう着方をしている方もいますし、もちろんファッションなので何をどう着ようが自由です。
ただ、自分はそこまでいくと普段使いもする上で、着心地・快適性に支障をきたす部分が大きいなと思いました。
強度の高さが裏目にでるというか、そこに対して15万円をかけることはできないなとの判断です。
雪山や岩肌激しい登山をするわけではないですし、タウンユースも多い自分にとってはベータARでもオーバースペックなのは間違いありません。
生地感のハリやシルエットもARで満足できるクオリティです。
ベータジャケットでは、強風であったりロードバイクに乗る際にやや気になっていた強度面での不安も完全に解消され、ベータARのGORE-TEX PROの性能の高さを感じました。
ベータARのコディネートについて
今回ブラックではなくSmoke Bluffというベージュ系を選んだのは、
- ベータジャケットの黒と被らないようにするため
- 明るいブルーのデニムとも合いやすい
という理由から。
スラックスと合わせて綺麗めな感じだったり、デニムとあわせたスタイルも気に入っています。
ベータARユーザーのサイズ感を調べた結果
1人目 | 2人目 | 3人目 | |
---|---|---|---|
身長 | 166 cm | 170 cm | 172 cm |
体重 | 58 kg | 72 kg | 56 kg |
サイズ | XS | S | M (オーバー気味) |
ベータARユーザーの着用感を調べてみた結果はこんな感じ。
日本人の場合、ARC’TERYXでM以上を着られる方の割合はけっこう少なめだと思います。
ハードシェルはレイヤリング前提のため、内側にダウンなどを着込めるゆとりをもって選ぶのがおすすめです!
ARC’TERYX Beta AR|メリット・デメリット
デメリット
- 10万オーバーの価格
- レイヤリング時のフードの収まり
- レギュラーフィットについて
- 携帯性
ベータARは内襟でフードが分かれているので、レイヤリングをする際に干渉してしまい、若干収まりが悪いように感じます。
何度か着用しているうちに、慣れてそこまで気にならなくなりました。
フィットについては、ファッションの好みもありますが、トリムフィットのほうがスマートで好き、という方もいると思いますし、自分もどちらかといえばトリムフィット派。
ただ、3L GORE-TEX PROで生地感がしっかりしているので、これくらいのゆとりはあったほうが快適性が担保されるのかなという気もします。
携帯性については、正直高くないです。
「できる・できない」で言えばもちろんできます。
ベータジャケットを使っていたこともあり、「携帯して持ち運べる」とうたえるほどの携帯性ではないのかなと思いました。
なので、あくまで「一応持ち運べる」という認識が妥当。
メリット
- ベージュ系のSmoke Bluffというカラー
綺麗めにもカジュアルにも合わせやすく汎用的で上品 - 3LGORE-TEX PROでも、ごわつきや扱いづらさを感じさせない着用感
40D/80Dの使い分けと素材の進化、加工の技術力、細部のこだわり - 1枚でサマになるシルエットの美しさが圧巻
デザイン+生地のハリ感、開けてきても最高に綺麗
ARC’TERYX Beta AR|レビューまとめ
- ARC’TERYX好きな方(高価ですが最高です!)
- デイリーから登山・ウインタースポーツなど汎用的に使いたい方
- タウンユースメインだけど、デザインや機能性の高さに惹かれている方
いかがでしたか?
間違いなく高価なアイテムですが、知れば知るほど、ARC’TERYXの歴史やクラフトマンシップ、こだわりに心酔し、ベータARというモデルを手に取れたことを、とてもありがたく喜ばしく感じています。
なかなか流通量の限られた製品にはなりますが、山登りするかどうかとか、タウンユースだとか、そんなことは関係なく、心からおすすめしたいです。
自分自身意を決して購入しましたが、迷われている方いれば、少しでも背中を押すきっかけになれば嬉しいです。